「虎に翼」第2弾 翼を求める女性たち

女性初の法曹、三淵嘉子さんをモデルにしたNHKの連続テレビ小説「虎に翼」が終盤を迎えてもなお大好評が続いています。今も、牢固として生きている男性優位の家父長制と、男女差別に苦しめられてきた年配の女性達には特に大好評で、その勢いは男性の関心を引くに至っています。この苦難を戦前は若い力で、猛然と、そして、既に弁護士資格を得ていた嘉子さんが戦後は果敢に日本国憲法を体現していく姿に勇気を得て毎日拍手を送っているのです。その一面、私は嘉子さんの一言ひとことに涙を流す事も度々です。

今朝はこんな一幕がありました。当時は育児休暇がなく、産前産後休暇を取ること自体を裁判官でさえ躊躇する時代に妊娠した新任の女性裁判官に、子どもを産んでからも裁判官を続けるのもよし、子育てに専念するのも良い、ただ裁判官に戻ってくる場は守りますからね、と声をかける場面。後輩を励まし、働くための第一歩、保育所探しもする。ああ、沢山の働き続けた女性たちがどこでもこのやり取りをしてきたのだ。私が弁護士資格を取った1975年はこの願いが裁判で成就し、結婚妊娠出産退職制、若年差別定年制を一掃する法の制定に向けて一時代を画しました。

嘉子さんは弁護士になり、結婚をし、お母さんになり、間もなく幼児を胸に夫を戦地に送り出し、夫が戦病死する体験をされています。そして死に目にも会えなかったのです。後に、いわゆる原爆裁判に関与し主任裁判官として判決を書かれています。「アメリカの原爆投下は非戦闘員を無差別に殺傷したもので国際法に違反する」との判断をした日本の最初の裁判官です。個を求める心は戦争に反対する決意に満ちています。

私たちの先輩がこんな素晴らしい道を開いていただいていたとは、少し法曹として生きる時代が重なっていたのに知りませんでした。

先輩と直に話をしたかった。