NHK連続テレビ小「虎に翼」が9月27日終わりました。視聴率は最後までトップでした。法律家が主人公の番組がこのような実績であったことにNHK自身も驚いているでしょう。第二次世界大戦の本質を突く「総力戦研究所」の存在を主人公の夫、現役の裁判官に自己の過去を振り返り、戦争責任の重さに打ちひしがれていることを吐露させる場面(この挿入は小説のうま味でしょう)に、視聴者は表現の自由問題で前科のあるNHKのリバウンドがないかと緊張しましたが無事でした。番組は製作者と視聴者が作るという嬉しい典型を作りました。
更に原作者は最終回ではかっての非行少女だった女性が職場でノルマを果たせず解雇の危険にさらされる場面で、自己責任で自分を引こうとする女性労働者に労働基本法第20条を登場させ、「あんたが悪いんじゃないのよ」と使用者は即刻クビには出来ない労働者の権利があるんだとの会話を入れました。「法律は私たちを守ってくれるのよ」と語らせるなど、戦後日本国憲法制定を受けていち早く誕生した労働基本法の位置づけを明確に最後の最後に発言させました。クローズアップ現代に登場した原作者古田恵里香さんは日本国憲法を私たちは実践して自分らしく生きようと呼びかけられました。「100年間」変わらなかった日本国の生き様を越えるべく「どこまでも飛んで行こう」との主題歌と共に私たち一人ひとりを限りなく励ましました。
又、最終回では「女が弁護士になって生きるのは地獄の道を行く」と心配した既に鬼籍に入っている主人公の母ハルさんが登場し、その問いかけに70才を目の前に鬼籍に入ってしまった主人公が「最高!」と答える場面は、既に齢78才を数え、弁護士生活50年を迎えんとしている私にとってはこれ以上の励ましはありませんでした。今日は、弁護士になった気概、私の人生を女性と子どものために役に立ちたいとの思いを更に固めました。
若い皆さん、若い女性の皆さん、もう若くもないと思っておられる女性の皆さんと、もうしばらくご一緒したいと思っています。